本文 | 作品のサイズ P100号(1620mmX1120mm)の油彩 2015年7月7日~7月12日に福岡市美術館で開催された「創元展巡回展」に出品作者の言葉 私は、ギリシャ神話について語る資格は全くありません。ただ、以前から、古代の芸術品(兵馬俑、ペルシャのレリーフ等)に惹かれ、拘ってこれらをモチーフにして描いて来ました。古代の芸術家に対する畏敬の念からです。 昨年夏、ミュンヘンに旅する機会があり、そこで「ギリシャ博物館」を見学しました。 いつも私の頭の隅には、次には何を描くのか?のモチーフ探しがあります。 懇切丁寧な説明を受けながら、作品群を観て廻っておりましたら、ほとんど最後の部屋になって、見つかりました! ギリシャ神話の素晴らしい大理石のレリーフがずらっと並んでいるではありませんか。「これだ!」と心中、快哉したことでした。 [補足] ミュンヘンの「ギリシャ博物館」で見た、本物のレリーフは大理石で、50メーター位の長い彫刻でした。 驚いたことに、説明して貰った女性の学芸員の方は、なんと8年ほど前に福岡に来られた折、兄と一緒に「大宰府の九州国立博物館」をご案内した方だったのです。ミュンヘンに住む姪の粋な計らいでした。帰国後は、一気に、昨年10月から今年3月まで、約半年かけて、4月の東京での「第74回創元展」に間に合わせるべく描いたものです。 「ペルシャのレリーフ」を何故描くのか? 創元会 会員 秋吉 晃二十年ほど前に、中国・西安でお目にかかった凄い量(約八千体)の「兵馬俑」! あの時の驚き、感動を忘れることは出来ない。二千二百年以上も昔、これ程のもの(今では芸術品・中国最大の遺産)を作り上げた人々の苦労、作らせた人間の権力の大きさ、・・・・・・・・・。「創元展」に出品し始めて暫くして、数年間は「兵馬俑」を描くことに挑戦してみた。四~五年間は、続けて兵馬俑を描いた。振り返ってみると、その時は一生懸命描いたつもりでも、恥じ入る作品が多かった。毎年、展覧会に足を運んで呉れる東京の妹が「兄ちゃん、もう兵馬俑は見飽きたよ。また兵馬俑だったら、観に行かんよ」ときた。自分自身も、「兵馬俑」にいささか飽いて来ていた。インドネシア、カンボジア、スペイン、トルコ、エジプト、フランス、イギリス等でも多くの実物の遺跡や古代のものは見てきた。人間は、古代から絵画や、彫り物、焼き物を作り残している。多くは作者不詳である。誰が描いたか? 誰が作ったか? そんなことはもうどうでもよい。古の昔から、描きたい気持ち、作りたい心に突き動かされて作品を作り上げてきた古代人に私は頭が下がる。 幼児でも、絵を描くことを喜び、音楽・歌を楽しむ。従って、描いたり、作ったりすることは、人間として自然な行為ではあると思う。 それはそれとして、大昔の大先輩たちが、残した偉大なる「遺産」に触れたとき、何とかこの「畏敬の念」「感動」を伝えられないものか! こんなわたしのこだわりから、今「ペルシャの遺跡」にとりつかれている。「ペルシャに行きましたか?」「実際に見て来ましたか?」と時々訊ねられる。残念ながら、ペルシャ(今のイラン)には行ったことは無い。実物の「ペルシャのレリーフ」は見たことは無い。現在のイランには危険がいっぱいで訪問出来ないのである。仕方なく、多くの写真集の中から、絵になるような動きのあるもの、物語性の感じられるようなものを探し、自分でこれを加工し(絵ソラゴト)作品としている。 他人様から見れば、実についまらぬこだわりかもしれないけれども・・・・・・ |